そうなのん?今日はフィボナッチ数列の日なのん?

今日はフィボナッチ数列の日だったのか?

これは、フィボナッチ数列の母関数\dfrac{1}{1-x-x^2}F_0=1,F_1=1とした場合) に x=0.1 を代入した \dfrac{100}{89} から得られる。

ちなみに、
The remarkable number 1/89
は、 b_n=10^{-n+1} F_n のみたす3項間漸化式の特性方程式を固有方程式とする行列を利用して求めている。

定数係数斉次線型3項間漸化式の通常型母関数の求め方については
定数係数斉次線型3項間漸化式の通常型母関数 - 球面倶楽部 零八式 mark II
にあり、これに従ってフィボナッチ数列F_0=1,F_1=1とした場合の母関数 f(x):=\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty} b_k x^kを求めてみる.

 b_n=x^n F_n とすると \dfrac{b_{n+2}}{x^{n+2}}=\dfrac{b_{n+1}}{x^{n+1}}+\dfrac{b_{n}}{x^n}だから、
A=\begin{pmatrix} 0 & 1 \\ x^2 & x \end{pmatrix}とおくと、\begin{pmatrix}b_{n+1} \\ b_{n+2} \end{pmatrix}=A\begin{pmatrix} b_{n} \\ b_{n+1} \end{pmatrix}が成立するので、A の全ての固有値の絶対値が1未満の場合は、
 \begin{pmatrix} f(x) \\ f(x)-b_0 \end{pmatrix}=\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty} \begin{pmatrix} b_{k} \\ b_{k+1} \end{pmatrix} =\left(\displaystyle\sum_{k=0}^{\infty} A^{k}\right)\begin{pmatrix} b_{0} \\ b_1 \end{pmatrix} =(I-A)^{-1}\begin{pmatrix} b_{0} \\ b_{1} \end{pmatrix} =\begin{pmatrix} 1 & -1 \\ -x^2 & 1-x \end{pmatrix}^{-1}\begin{pmatrix} b_{0} \\ b_{1} \end{pmatrix} =\dfrac{1}{1-x-x^2}\begin{pmatrix} 1-x & 1 \\ x^2 & 1 \end{pmatrix}\begin{pmatrix} 1 \\ x  \end{pmatrix} =\dfrac{1}{1-x-x^2}\begin{pmatrix} 1 \\ x^2+x \end{pmatrix}
となり、f(x)=\dfrac{1}{1-x-x^2}が成立する.

なお、F_1=0,F_2=1 から始まるフィボナッチ数列の母関数は,添字が1ずれているので f(x)=\dfrac{x}{1-x-x^2} となることがわかる.

にあるような、パスカルの三角形に潜むフィボナッチ数列は有名事項だが、
https://www.chart.co.jp/subject/sugaku/suken_tsushin/76/76-5.pdf
には、この関係を母関数から眺めている。詳細はこの pdf を読めば良いが、簡単に述べておくと

f(x)=\dfrac{1}{1-x(1+x)}=1+x(1+x)+x^2(1+x)^2+\cdotsx^5 の係数は  x^3(1+x)^3,x^4(1+x)^4,x^5(1+x)^5 だけから得られ,これから F_5={}_3C_2+{}_4C_1+{}_5C_0 のようなことがわかる、ということで、f(x) が 初項1,公比 x(1+x) の無限等比級数となることから、フィボナッチ数列パスカルの三角形の関係が見てとれる、ということである(pdf を読めばもっと詳しく書いてある).

ここでx=0.1とおくと0.1倍が1桁右にずらすことに注意すれば、先ほどのツイートの話になる.

そういえば、今から40年ほど前に、\dfrac{1}{7}=0.14+0.0028+0.000056+0.00000112+\cdots となることに気がついて、有理数\dfrac{k}{10^n}の無限等比級数で表現する方法について考えたことを久し振りに思いだした。

まぁ、初項をa とおくと,\dfrac{10^na}{10^n-k}と表現できるような分数を考えれば良いので、\dfrac{1}{7}の場合は、
(n,k)=(1.3),(2,2),(3,6),\ldots などの組を求めることができて,
\dfrac{1}{7}=0.1+0.03+0.009+0.0027+\cdots (3倍して1桁ずらす),
\dfrac{1}{7}=0.14+0.0028+0.000056+0.00000112+\cdots (2倍して2桁ずらす),
\dfrac{1}{7}=0.142+0.000852+0.000005112+\cdots (6倍して3桁ずらす)
のように無限等比級数の和として表現できることがわかる.

一般の3項間漸化式の場合,母関数を
f(x)=\dfrac{A+Bx}{1-x(px+q)}
とおくと、初項A+Bx,公比x(px+q)の無限等比級数となるので、
例えばx=10^{-k+1}とおくと,
初項 10^{k+1}A+B,公比q0\cdots 0p0k個)の無限等比級数をずらして並べて足したものとなるので、似た議論をすることができる.

ただ、定数係数斉次線型漸化式でフィボナッチ数列ほど有名な数列はないので、やはりフィボナッチ数列だとインパクトが違うのだろうなぁ。

先ほどのフィボナッチは、A=p=q=1,B=0x=0.1 としたけど、 x=0.01 とすれば
 \dfrac{f(0.01)}{10000}=\dfrac{1}{9899}=0.00\,01\,01\,02\,03\,05\,08\,13\,21\,34\,55\cdotsと2桁区切りでフィボナッチ数列が登場するし、\dfrac{1}{998999}だと3桁区切りでフィボナッチ数列が登場する.