河内

河内と書いて何と読むかというと大阪に「かわち」という地名がある。高知はもともと河内と書いていたようで「こうち」とも読む。ベトナムの「ハノイ」も漢字では「河内」と書く。まぁ河の内側という訳だから良くある地名で、その場所ごとの読み方をしているということか。

ベトナム北部は、前漢から唐にかけて置かれた中国の郡として交趾(こうち、こうし)と呼ばれていた。19世紀のフランスによるベトナム統治下においては、南部を交趾支那と呼んでいたが、もともとはハノイに置かれた中国の郡が交趾という訳だ。交趾の由来は Wikipedia によると

古くはこの地方の住民の足が大変大きく、真っ直ぐに立つと左右両足の指(趾)が交差するからだとされて来たが、全く根拠が無く、その地名の由来は不詳である。その呼称が登場する最古の記録は秦がこの地域に進出して以後である。


と書いてある。根拠が無いのは当然で、もともと交趾というのはベトナム北部の言葉への当て字だからだ。例えばツングース語系の部族扶余とはツングース語の鹿を意味する言葉に漢字を当て字をしたり、現在でもコカコーラに可口可楽と当て字をするのと同じである。つまり交趾の語源はベトナム北部の人々が自らの土地を河内に由来する「こうち」と呼んでいたことに当て字をしたことである。そして時代が下って河内を後の時代の漢字の音をあてて読んだのが「ハノイ」という訳なのだ。「何でベトナムで訓読みやねん」と突っこめなかった人は反省するように。トンデモ説はこのように作られるという訳だ。