査読ってやつぁ

某学会誌の編集委員をやっていてメタ査読のお鉢が回ってきた。何というか微妙な論文ばかり投稿されてくるようで編集委員でもリジェクトの嵐になる不毛なお仕事である。

割と細分化されている分野にも関わらず委員の数が少ないため、結構専門外の論文の担当にならされてしまう。専門外の論文の担当になると査読者を選ぶのが大変なのだ。誰に振ればよいかが暗中模索だからだ。論文や web ページを調べて突然のメールを差し上げるわけだ。予想される返事は

(1)引き受けます
(2)今忙しいので締切りを大幅に遅れてもいいなら引き受けます。
(3)査読を沢山かかえているのでごめんなさい。
(4)大学の諸々の関係でごめんなさい(入試委員などは守秘義務があるので深追い禁物)
(5)やや専門外なのでよい査読ができないのでごめんなさい。
(6)無視。

あたりに集約されるだろう。一番困るのは(6)である。自分の論文だって誰かに査読してもらうのだから、返事ぐらいよこすのが普通だと思うのだがどうだろうか?返事がないと次の査読者を探すべきかどうか判断に困ってしまうからだ。

今回2人の査読者を選ぶために5人にメールをすることとなった。あまり詳しく書くと色々とまずいので多少不正確に書いておく。

国立大、男:忙しいのでごめんなさい
私立大、女:無視
公立大、男:引き受けます
国立大、男:引き受けます

というわけで査読者の選定に時間が結構かかることとなった。傾向を眺めるにはサンプルが不足しているので、次に割り当てるときは、国立、公立大の女、私立大の男に査読を振ってみよう。

一応、過去の2本の論文の査読依頼結果(記憶違いの可能性あり)

研究所、男:忙しいのでごめんなさい
国立大、男:引き受けます
国立大、男:引き受けます
私立大、男:引き受けます
私立大、男:引き受けます

まぁ、こんな感じかな。空気を読まない私の査読依頼を了承してくださった先生の中には非常に偉い先生もいる訳ですが、政治家としては知りませんが研究者として優秀な先生ほどこういった瑣末な事にも協力的で、引き受けない場合は引き受けてくれそうな人を紹介してくれたりします。

ちなみに私は、査読依頼で断ったことはほとんどありません。「専門外なので的確な査読にならない可能性もありますが、それでもよいのなら」と前置きをすることも多いですが、世の中査読者不足なのか、「それでもいいのでお願いします」とは言われることが多いです。それだけ査読者が不足しているということです。査読結果に文句をつける前に自分がどれだけ査読に貢献しているか考えましょ、というお話です。

今後は、自分ルールとして、自分がお願いしたのに無視した人のいる機関(今回の例では某私立大)の人からの査読依頼は、

「以前あなたの機関の方に査読を依頼したところ返事すら頂けず無視されたので引き受けないことにしております。申し訳ありませんが他の方をお探しください」

と断ってみようかなぁ(それが出来ない小心者だから査読しまくりなのだが)。

なお、私の分野は、査読は完全に無償奉仕ですが、知人の分野ではクオカードが貰えるそうです。そういうインセンティブがあると査読者がふえるような気もしますが、金銭が絡むとこの頃流行りのコンプライアンスの関係で査読をする場合は申請して組織長の許可を得てからにしてください、という不毛な議論になってしまい、面倒を避けて査読者が逆に減るかもしれません。



査読に関しては

朱鷺の杜(IBIS)ブログのRAAGのことなど
http://ibisforest.blog4.fc2.com/blog-entry-94.html

も考えさせられます。