回転体体積の裏ワザ:軸の正射影と体積の関係

大数1988年3月号p.62-63 の記事でなるほどと思ったやつ.

平面 \pi 上の図形 D を 直線 l のまわりに回転した体積 V_{l}D を直線 mlの正射影) のまわりに回転した体積 V_{m} とするとき,V_{l}=V_m\cos\theta(ただし \thetalm のなす角)

証明は本誌よりも丁寧に書いておくと,
\pixy 平面,mx 軸,l を原点を通り方向ベクトルが (\cos\theta,0,\sin\theta) の直線とするとき,D の平面 x=k による切り口と (k,0,0) との距離の最大を M(k),最小を m(k) とすると
V_m=\displaystyle\int \pi\{M(k)^2-m(k)^2\}\,dk
である.一方 l 上の点 u(\cos\theta,0,\sin\theta)を通り l に垂直な直線
\cos\theta(x-u\cos\theta)+\sin\theta(z-u\sin\theta)=0
つまり (\cos\theta)x+(\sin\theta)z=u による D の切り口は D の平面 x=\dfrac{u}{\cos\theta} による切り口と一致するので,\dfrac{u}{\cos\theta}=k とおくと du=(\cos\theta)\,dk であるから,
V_l=\displaystyle\int \pi\{M(k)^2-m(k)^2\}\,du=(\cos\theta)\displaystyle\int \pi\{M(k)^2-m(k)^2\}\,dk=(\cos\theta)V_m
となる.

2024年(令和5年)東京大学-数学(理科)[5] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR