結論:ピックの公式と台形公式の誤差評価を利用すると,累乗和の主要3項を求めることができる.
別館で放物線弧を折れ線近似してピックの公式を利用する入試問題をいくつか解説した.
2018年(平成30年)東北大学後期-数学(理学部)[1] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
2018年(平成30年)東北大学後期-数学(経済学部)[1] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
2017年(平成29年)宮崎大学前期-数学(医学部)[2] - [別館]球面倶楽部零八式markIISR
この話の基本は,
・ をみたす領域の周上の格子点が 個
・内部の格子点は とおくと 個
・放物線弧を を結ぶ折れ線で近似したときの領域の面積は,増加分を考えれば
となることから,ピックの公式を利用して
が成立し,よって
となり,
となる,
ということが基本となっている.結局のところ,放物線弧を折れ線で近似したときの領域の面積は,本来ならば台形公式なのでΣで求めるところを、1/6公式でサボれるところが肝になっている
(だからΣの公式がうまく導けている).
同じように について考えると,
・ をみたす領域の周上の格子点が 個
・内部の格子点は とおくと 個
・3次関数弧を を結ぶ折れ線で近似したときの領域の面積は,台形公式から
となることから,ピックの公式を利用して
となる.この台形部分の面積を普通に台形の面積公式で計算してしまうと
が得られるだけなので,これをうまく扱いたい.
台形公式の誤差は の区間 について
()
だから,区間 における誤差は で評価できる.つまり
となるので,
が成立する.つまり
となるが,これだと評価がゆるすぎるか。
が単調増加のとき,平均値の定理で誤差を示すことから,
()
によって誤差の下限を見積ると
になる,で大丈夫だよな.すると
となる.
が の4次式で表されることを認めると, で
となることから
の形をしているが,, から
と何とか導けて
となる.
同じように について考えると,
と評価でき,
と評価できる.実際は
から
となるので,
まで一致する.
とりあえず,折れ線近似と台形公式の誤差評価でピックの公式から導けるのは のときは
と最初の3項までで,もしそれよりも詳しく知りたければ誤差評価を精密にしなければならない.
もちろん,累乗和の公式を機械的に導くには,有名な関係式
( は をみたすように決める)
を使えば良い.ちなみにこの関係式を使うと
として
,
,
のように導くことができる.