公式に代入しただけなのに

a,b,c が実数で a+b+c=3a^2+b^2+c^2=3 のとき a=b=c=1 を示せ.

に対して統計の「公式」(分散)=(2乗平均)-(平均)^2 を使って分散が0だから a=b=c=(平均)=1 という解法が寄せられて

と褒めるツイートがあった後に

統計学の定理は代数的に証明されているので、代数的な問題を統計学の定理を使うのはあまり適切ではないと思うのだけど。統計学の定理の証明を真似したら証明できましたっていうのならいいと思うけど。

とか有害なツイートをしている.何が有害かというと統計の「公式」を用いて分散が0となることを「計算」して分散が0となったことから
a=b=c=(平均)=1」が成立するので証明が完了したという特に間違ってないことに対して「適切でない」とか有害なことを言っている。

これって、

点と平面の距離という定理は代数的に証明されているので、代数的な問題を点と平面の距離という定理を使うのはあまり適切ではないと思うのだけど。点と平面の距離という定理の証明を真似したら証明できましたっていうのならいいと思うけど。

コーシー=シュワルツの不等式は代数的に証明されているので、代数的な問題をコーシー=シュワルツの不等式を使うのはあまり適切ではないと思うのだけど。コーシー=シュワルツの不等式を真似したら証明できましたっていうのならいいと思うけど。

と言っていることと同じですね。統計の分散公式は定理と言う人もいるかも知れないが単なる展開公式。本当に何を言っているかわからない。証明として何の問題もない。

(1) 平均からの偏差の2乗平均を分散と定義する

(2) このとき分散の値は (2乗平均)-(平均)^2 に等しい(高校の教科書に載っている公式だから使うのに証明が必要とかありえない)

(3) 与えられた数値を代入すると分散の値が0になった(高校の教科書に載っている公式から分散の値を計算しただけ)

(4) だからデータの値は全て等しくて平均値に等しい(分散が0なら平均からのずれの2乗和が0となるので言える)

注:「分散は正または0であり、分散が0となるのはデータの値は全て等しくて平均値に等しいときに限る」は習っているが敢えて定義に戻ってみた

という流れのどこに瑕疵があるというのだろうか?全くもって意味不明である.正しいことが確認された式変形を用いることがあまり適切ではないとか意味がわからないよ。

と書いてみたものの、

つまり「平均1、二乗平均1より分散0、よって明らか」っていうなら「平均1、二乗平均1ならば分散0である」ことを証明すべきでは。

ともっとひどい内容であった。これは証明すべきことではなく、高校の教科書に載っている分散の定義とは違った計算の方法(計算公式)なのだから証明せずに使って良いこと。習ったことを使ってはいけないって、つらすぎる。

問題文は一般的なデータに対して
「平均の2乗と2乗平均が等しいとき全てのデータが平均値に等しいことを証明せよ」
ではなく具体的なデータに関して
「平均の2乗と平均が与えられたときに全てのデータが平均値に等しいことを証明するために、平均の2乗と2乗平均を比べてみたら言えた」
のだから何の問題もない。

それはそれとして、この Post(Tweet) に対して

わかりにくい循環論法っことか

とか呆れる。分散公式に数値を代入して分散の値を求めているだけなので何も循環していない。fj の頃から進歩がない。

追記しておくと、牛刀割鶏であるというならまぁわかる.実際そうだし。

例えば、Cauchy–Binet の公式により(この場合、Lagrange の恒等式と同じだが)
(1^2+1^2+1^2)(a^2+b^2+c^2)=(a+b+c)^2+(b-c)^2+(c-a)^2+(a-b)^2
が成立するので
(b-c)^2+(c-a)^2+(a-b)^2=0
となり,a=b=c となり,a+b+c=3 から a=b=c=1 となる.

という証明があるが,これも

Cauchy–Binet の公式は代数的に証明されているので、代数的な問題をCauchy–Binet の公式を使うのはあまり適切ではないと思うのだけど。Cauchy–Binet の公式を真似したら証明できましたっていうのならいいと思うけど。

となるんでしょうかね。Cauchy–Binet の公式は高校の教科書に載ってないから駄目とな言うんじゃなかろうな。

ちなみに、Cauchy–Binet の公式により(この場合、Lagrange の恒等式)から得られた式を一般化すると
\left(\displaystyle\sum_{i=1}^n 1^2\right)\left(\displaystyle\sum_{i=1}^n x_i^2\right)=\left(\displaystyle\sum_{i=1}^n x_i\right)^2+\displaystyle\sum_{i\lt j}(x_i-x_j)^2
となるので
v_x=\dfrac{1}{n^2}\displaystyle\sum_{i\lt j}(x_i-x_j)^2
が成立するが,この式が書いてある統計の本ってほとんどない(少なくとも1つはある)。

参考:Lagrange の恒等式
\left(\displaystyle\sum_{i=1}^n a_i^2\right)\left(\displaystyle\sum_{i=1}^n x_i^2\right)=\left(\displaystyle\sum_{i=1}^n a_ix_i\right)^2+\displaystyle\sum_{i\lt j}(a_ix_j-a_jx_i)^2

備忘録:Clopper-Pearsonの信頼区間へのリンク

母比率の信頼区間で通常の教科書にあるのは二項分布を正規分布で近似したときの信頼区間で Wald の信頼区間と呼ばれる。

二項分布の確率を真面目に計算したものが Clopper-Pearsonの信頼区間

qiita.com

名古屋大学2024年4番

備忘録:平行軸の定理(ホイヘンス-シュタイナーの定理)

定期的に

中線定理やスチュワートの定理が、分散公式を意味しているという話が X(旧Twitter)で話題になるが、それが力学の

平行軸の定理 - Wikipedia

(ある軸に関する物体の慣性モーメントは,重心を通りその軸に平行な軸についての慣性モーメントと,着目している軸に関して,全質量が重心に集中しているとして得られる慣性モーメントとの和として表せること)

とも等価であるという話が

Ikuro's home page の
初等物理の問題(その6)

(この定理は物理学の問題や確率論の問題に応用されている.たとえば,ベクトルpkを位置ベクトルとみれば慣性モーメントの問題となるし,速度ベクトルとみれば運動エネルギーの問題に転化する.全分散を群間分散と群内分散に分解すると考えれば「分散分析」の問題となるのである.)

にある.

以下、引用

多角形の各頂点に重み w_k を設ける.たとえば三角形の場合,重心は

\overrightarrow{\mbox{OG}}=\dfrac{w_1\overrightarrow{\mbox{OA}}+w_2\overrightarrow{\mbox{OB}}+w_3\overrightarrow{\mbox{OC}}}{
w_1+w_2+w_3}

ここで,始点を \mbox{O} から \mbox{P} に変えても
\overrightarrow{\mbox{PG}}=
\dfrac{w_1\overrightarrow{\mbox{PA}}+w_2\overrightarrow{\mbox{PB}}+w_3\overrightarrow{\mbox{PC}}}{
w_1+w_2+w_3}
となって,重心の位置は座標や原点の取り方に依存しないことがわかる.また,始点を G に変えると,
w_1\overrightarrow{\mbox{PA}}+w_2\overrightarrow{\mbox{PB}}+w_3\overrightarrow{\mbox{PC}}
=\overrightarrow{0}
となる.

ここでは1次モーメントを考えたが,2次モーメントについては,
w_1|\overrightarrow{\mbox{OA}}|^2+w_2|\overrightarrow{\mbox{OB}}|^2+w_3|\overrightarrow{\mbox{OC}}|^2=w_1|\overrightarrow{\mbox{OG}}+\overrightarrow{\mbox{GA}}|^2+w_2|\overrightarrow{\mbox{OG}}+\overrightarrow{\mbox{GB}}|^2+w_3|\overrightarrow{\mbox{OG}}+\overrightarrow{\mbox{GC}}|^2=(w_1+w_2+w_3) |\overrightarrow{\mbox{OG}}|^2+2\overrightarrow{\mbox{OG}}\cdot(w_1\overrightarrow{\mbox{GA}}+w_2\overrightarrow{\mbox{GB}}+w_3\overrightarrow{\mbox{GC}})+w_1|\overrightarrow{\mbox{GA}}|^2+w_2|\overrightarrow{\mbox{GB}}|^2+w_3|\overrightarrow{\mbox{GC}}|^2

ここで,
w_1\overrightarrow{\mbox{GA}}+w_2\overrightarrow{\mbox{GB}}+w_3\overrightarrow{\mbox{GC}}=\overrightarrow{0}
より,
w_1|\overrightarrow{\mbox{OA}}|^2+w_2|\overrightarrow{\mbox{OB}}|^2+w_3|\overrightarrow{\mbox{OC}}|^2=(w_1+w_2+w_3)|\overrightarrow{\mbox{OG}}|^2+w_1|\overrightarrow{\mbox{GA}}|^2+w_2|\overrightarrow{\mbox{GB}}|^2+w_3|\overrightarrow{\mbox{GC}}|^2

すなわち,点 \mbox{O} に関する2次モーメントの和は,点 \mbox{O} に関する重心 \mbox{G} の2次モーメントと重心 \mbox{G} に関する2次モーメントの和に等しいというのがシュタイナーの定理である.

これは数学的にはスチュアートの定理そのものでもある.
 n|\overrightarrow{\mbox{AB}}|^2+m|\overrightarrow{\mbox{AC}}|^2=n|\overrightarrow{\mbox{GB}}|^2+m|\overrightarrow{\mbox{GC}}|^2+(m+n)|\overrightarrow{\mbox{GA}}|^2

物理的には

1次モーメント=運動量保存の法則

2次モーメント=角運動量保存の法則(あるいはエネルギー保存の法則

に相当する.

1次モーメント=平均

2次モーメント=分散

という対応をしているという訳だ.

備忘録:スチュワートの定理 - 球面倶楽部 零八式 mark II

はてなブログやる気ないだろ

以前は、本館と別館の切り替えが1クリックでできたのに、今は切り替えが非常に面倒で、

Google の検索履歴から新しく立ち上げる方が速い

というのは、頭が悪すぎるだろ。はてなブログを廃止したいのだろうな。

ちなみに現在は
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となる.ブログを書く前に、ブログを表示したいんじゃー