北海道大学の情報Iの配点を0点にする話

現状認識に関しては

が妥当。ただ情報の教員は北海道に限らず全国的に不足している。しかし、それ以前に情報Iを大学入試科目として設定する必要があるのかということがある。

情報サンプル問題(pdf)

をみてみればわかるけど、理系が解けたとして何なのだと言うのだろうか?という問題が多い。個人的な印象としては

「家庭科は生活する上で大切だから共通テストで家庭科を出題して大学入試に活用せよ」

といっているレベル。家庭科は生活をするのに大事だけど大学で物理や数学といった学問を学ばせるための選抜に必要かと言われると入試科目に必要ないという話になってしまう。情報も同じで生活には大切だが大学で学問を学ぶ素質を測るためには必要ではない科目であり、それよりも国語や数学をしっかり勉強してきてください、となるだけの話。

そう書くと、アルゴリズムの問題もあるじゃないかと反論する人もいるだろうが、ちょっとしたアルゴリズムの部分も、以前センター試験の数学の選択問題にあったプログラムの問題レベルであり、もしそれが重要ならば何故センター試験の数学でプログラムが出題されなくなってしまったのか(IAのプログラムは2006年度、IIBのプログラムは2015年度で廃止)を良く考えた方がいい。生活をする上での重要性と大学入試科目としての重要性は異なっており、高校生が数学を理解したかどうかをプログラミングで測定することは適切ではない判断されたということ。

残念ながら、情報で習うことの多くは、短期的にしか使えない知識がほとんどなので、むしろ将来情報に携わることになる人にとっては害悪になるんじゃないかな。大学以降、学びたいことができたら自由に学ぶことができる力を高校生のときに蓄えるべきであって、クイズ王を養成する必要はないと思うのだけど。

そう言った意味で、情報処理学会の見解

www.ipsj.or.jp

を見るとがっかりする。「家庭科についても同じことが言えんのかよ!情報処理学会よ!」という感じである。そもそも「情報I」を受験科目にすること自体が間違っているという話なのだが。

そもそも家庭科と同じ位置付けの「情報I」が必修化されてしかも共通テストに課されるという不自然で不透明な国立大学協会の基本方針が妥当ではないのだから、学問を学ばせるのに適した人材を選抜するには、国立大学協会の基本方針を意図的に形骸化させなければならないという立場を北海道大学はとっていると思われるのだが。

このような見解を出すということはむしろ、高校において主要科目であるべきではないはずの「情報I」が必修化されてしかも共通テストに課されるという不自然で不透明なことに対して情報処理学会が何らかの働きかけをしたのではないかと疑われても仕方のないのでは?と思う。

くり返すが、高校における「情報」で学ぶ事柄は基本的に「家庭科」と同じ。生活する上で大切な科目であって履修すべき科目であることは論を待たないが、それを大学入試科目として必修化するのは不自然で裏に何かあると思われてしまうよ。

まぁ、北大としては「情報I」の二次試験での配点は1点とする、とでも発表すれば情報処理学会も満足するでしょう。この1点で数十人は合否に影響するだろうから、その数十人の人生が狂わされることになりますが。

情報処理学会なのに醜い家鴨の仔の定理も知らないのかなぁ

ちょっとまずいね。