3:4:5の直角三角形

\tan\theta=\dfrac{1}{2}のとき,\tan2\theta=\dfrac{4}{3}になることから思いついたのでは?

\tan\theta=\dfrac{n}{m}のとき,\tan2\theta=\dfrac{2mn}{m^2-n^2}になるので容易に一般化できる.

については,
\vec{a}=(m,n)m\gt n),\vec{b}=(n,m)\vec{c}=(-n,m) とおくと,||\vec{a}||=||\vec{b}||=||\vec{c}|| かつ \vec{a}\perp\vec{c}であり,
2mn\vec{a}+(m^2-n^2)\vec{c}=(m^2+n^2)\vec{b}
が成立するので,3辺の比が
2mn:(m^2-n^2):(m^2+n^2)
の直角三角形ができる.この三角形の内接円の半径は
\dfrac{2mn+(m^2-n^2)-(m^2+n^2)}{2}||\vec{a}||=n(m-n)||\vec{a}||
(直角三角形なので,直角から円に引いた接線の長さが内接円の半径)
となるので,m=2,n=1 のときに限り内接円の半径が ||\vec{a}|| と1つのタイルの対角線そのものになる.

一般には内接円の半径はタイルの対角線 n(m-n)個分になり,内心の位置ベクトルは
であることに注意すると,内心の位置ベクトルは
2mn\vec{a}+n(m-n)(\vec{c}-\vec{a})n(m+n)\vec{a}+n(m-n)\vec{c}
と,\vec{a},\vec{c}の整数係数の線形和で書けるので m\times n のタイルを並べることによって求めることができることがわかる

もちろん,y=x と, (m^2+n^2)\vec{b}から x 軸に下した垂線の足との交点だからその座標は (n(m^2+n^2),n(m^2+n^2)) であることが直ちにわかり,その位置ベクトルは
\dfrac{n(m^2+n^2)}{m+n}(\vec{a}+\vec{b})
となることがわかる.残念ながらこの係数は mn が互いに素のときは整数にはならない.

というのも

(i) m,n が互いに素のとき nm+n は互いに素

(ii) m^2+n^2=(m+n)^2-2mnm+n は,m,n が互いに素のとき mnm+n は互いに素であることに注意すると,
最大公約数は2の約数

となるので,非負整数 m,n に対して\dfrac{n(m^2+n^2)}{m+n} が整数となるには m+n=2 でなければならないが,m=n=1 となり矛盾.よって整数にはならない.

という訳である.