第2種完全楕円積分の思い出

と書いておきながら、楕円関数を習ったことはない。ただ、高校生のときに解けなかった問題がある。

楕円\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1a\geq b\lt 0)の全長をL,これが囲む図形の面積をSとすれば4\pi S\leq L^2が成り立つことを示せ。

である。今からすれば何で解けなかったのかわからないが、次のように解けば良い。

L=\displaystyle 4 \int_0^{\pi/2} \sqrt{a^2\sin^2\theta+b^2\cos^2\theta}d\theta
=4 \int_0^{\pi/2} \sqrt{a^2-(a^2-b^2)\cos^2\theta}d\theta
=\displaystyle 4 \int_0^{\pi} \sqrt{a^2-(a^2-b^2)\sin^2\theta}d\theta
=\displaystyle 2\int_0^{\pi/2} \left(\sqrt{a^2-(a^2-b^2)\cos^2\theta}+\sqrt{a^2-(a^2-b^2)\sin^2\theta}\right)d\theta
\geq\displaystyle 4\int_0^{\pi/2} \sqrt[4]{a^2b^2+(a^2-b^2)^2\cos^2\theta\sin^2\theta}d\theta(相加平均と相乗平均の關係の不等式)
\geq\displaystyle 4\int_0^{\pi/2}  \sqrt{ab} d\theta(非負項の除去)
 = 2\pi \sqrt{ab}(定数関数の積分
よって、L^2\geq 4\pi^2 ab= 4\pi Sとなる。


ちなみに等号成立はa^2=b^2、つまり円の場合で、これは楕円に関する等周不等式になっている。

楕円の周の長さを計算するのだから第2種完全楕円積分
E(k)=\displaystyle \int_0^{\pi/2}\sqrt{1-k^2\sin^2\theta}d\theta
が登場するのは当然で、これが第2種完全楕円積分との出会いである。

そう言えば、昔、楕円積分について
サインカーブの長さ - 球面倶楽部 零八式 mark II
という悩みを考えたことがあるので、久しぶりに少し考えてみよう。

森田健、楕円関数論
http://fuchino.ddo.jp/yatsugatake/ellipticx.pdf
を読んでよう。