累乗平均(p乗平均)

2024年第1回束大実戦理系2番

[2] a,ba\gt b\gt 0 を満たす定数とする.x\gt 0 において定義された関数
f(x)=\left(\dfrac{a^x+b^x}{2}\right)^{\frac{1}{x}}
がとりうる値の範囲を求めよ.

これは正数 abx 乗平均で全実数 x について定義され(x=0 のときは x\to 0 の極限), x について単調増加であることが知られている.そして x\to-\infty で最小値,x=-1 で調和平均,x\to 0 で幾何平均(相乗平均),x=1 で算術平均(相加平均),x\to+\infty で最大値を与えることが知られている.

注) 統計では p 乗平均は \dfrac{a^p+b^p}{2}p 乗根をとる前の段階を指すのが一般的.

[解答]
A=\dfrac{b}{a} とおくと 0\lt A\lt 1 である.このとき
g(x)=\log f(x)-\log a=\dfrac{\log\dfrac{1+A^x}{2}-\log\dfrac{1+A^0}{2}}{x}
であるから,
h(x)=\log\dfrac{1+A^x}{2}
とおくと,g(x)(0,h(0))=(0,0)(x,h(x)) を結ぶ直線の傾きである.
h'(x)=\log K\cdot\dfrac{A^x}{1+A^x}\lt 0
h''(x)=(\log K)^2\cdot\dfrac{A^x}{(1+A^x)^2}\gt 0
である.

つまり h(x)x\gt 0 で単調減少で下に凸だから傾き関数 g(x) は単調増加となる.

注)式で求めるなら
g'(x)=\dfrac{xh'(x)-h(x)}{x^2}=\dfrac{1}{x^2}\{(xh'(x)-h(x))-(0\cdot h'(0)-h(0))\}
であり,平均値の定理から
g'(x)=\dfrac{1}{x^2}\cdot ch''(c)
をみたす 0\lt c\lt x が存在するので h''(c)\gt 0 より g'(x)\gt 0
だから関数 g(x) は単調増加となる.

ここで
\displaystyle\lim_{x\to 0+0} g(x)=\displaystyle\lim_{x\to 0+0} h'(x)=\dfrac{1}{2}\log K(\lt 0)
平均値の定理ロピタルの定理を使っても得られる),
\displaystyle\lim_{x\to+\infty} g(x)=\displaystyle\lim_{x\to+\infty} \dfrac{h(x)}{x}=\dfrac{\log(1/2)}{+\infty}=0
だから g(x) の値域は \dfrac{1}{2}\log K\lt g(x)\lt 0 となる.よって \dfrac{1}{2}\log ab \lt \log f(x)\lt \log a から f(x) の値域は
\sqrt{ab} \lt f(x)\lt a
となる.

累乗平均の単調性については Jensen の不等式を用いても示すことができる.例えば
manabitimes.jp

参照.