Faà di Bruno の公式
Faà di Bruno's formula - Wikipedia
一般の の表現は複雑な形をしているが,具体的な についてはコツをつかめばまぁまぁ簡単に計算ができる.
とおく.真面目に計算すると
,
と続いていく.
これをこのまま微分して を求めても良いが,少し考えてみよう.
当然ながら
,,,,
が登場する.そのペアとして考えれば
,
,
,
,,
7個の項が登場する.これはペアを考えると5の分割数の7個に対応する.ペアであるの微分の登場が分割数と関係ある.
5の分割は
,,,,,,
であるが,これらが の微分の項を表しており前から順番に
,,,,,,
に対応している(分割数を大きい数から書いているので高階微分が先に来ている).
分割が3つの個数からなる場合は が3回微分されている,というように
に対応:(1個の和に分割),
に対応:,(2個の和に分割),
に対応:,(3個の和に分割),
に対応:(4個の和に分割),
に対応:(5の和に分割)
となっているので,登場する項は
,,,,,,
の7つであることがわかり,あとは係数を求めるだけとなるが,これは多項定理の帰結である.例えば の係数は
分割数 に対応しており,3が1つ,1が2つであることがら微分の順番に関して 通りあって,それぞれに対して3回微分()が1つ,1回微分()が2つであるから,結局
となり, という項になる.という感じで残り6個も計算すると最終的に
が得られる.
これまでの話は形式的な導き方であるが,証明においては
Faa di Bruno の公式とその応用I
にあるテイラー展開を用いた方法が簡単だろう. の場合について考える.
, とし ,,, とおくと
テーラー展開により
,
が成立する.ここで ,()である.
ここで多項定理を利用すると
の の係数は ,
の の係数は ,
の の係数は ,
の の係数は ,
の の係数は
となるので, の の係数は
となる.よって
となり,
が得られる.登場する項とその係数がどのように与えられるかの仕組みが分割数に対応する理由も見えてくるだろう.