演算子法 / 記号法

この部分分数分解を使って線形漸化式を解くやつ、コメントにあるような「微分方程式に焼き直して解く」のは「演算子法 / 記号法」と呼ばれるもので結構良く使われている手法。この微分方程式における演算子 D:f\mapsto f'を、数列におけるシフト演算子 T:a_n\mapsto a_{n+1} に対応させて焼き直したもので、数列の通常型母関数と関連付けられる。これは20年程前に非常勤をやっていた大学で教えていたなぁ。

記号法による微分方程式の解法について私が最初に知ったのは

(の旧版)で、1983年のことであった(昨日フィールズ賞とった June Huh の生まれ年だな。この人の経歴はやばい)。

もっと深い所まで学びたい人は

が適切。ミクシンスキーの本は久々に読み返してみるか。

大学受験参考書だと、シフト演算子を利用した漸化式の解法が

に載っていたが、今見直してみると
a_{n+1}=pa_n+q\cdot r^n +s(p\neq 1,r)
の解法しかなかった。
T(r^n)=r (r^n) から (T-p)(r^n)=(r-p)r^n を経由して
\dfrac{1}{T-p}(r^n)=\dfrac{1}{r-p}(r^n)
となるので
 a_n=\dfrac{1}{T-p}(r^n +s)=\dfrac{1}{r-p}(r^n +s)
が特殊解で求まる、という話だけで終了していた。

部分分数分解を用いて、隣接3項間線形漸化式を問いてもいなかったし、
例えば a_{n+1}=3 a_n +2n+1 のような漸化式の特殊解も求めていなかった。

ちなみに、 a_{n+1}=3 a_n +2n+1 の解法は、
\Delta = T-1 が差分演算子になるので、
(D-2)a_n=(T-3)a_n=2n+1
から
 a_n=\dfrac{1}{D-2}(2n+1)=-\dfrac{1}{2}\cdot\dfrac{1}{1-D/2}(2n+1)=-\dfrac{1}{2}\left(1+\dfrac{D}{2}+\dfrac{D^2}{4}\cdots\right)(2n+1)=-\dfrac{1}{2}\left\{(2n+1)+\dfrac{2}{2}+0+\cdots\right\}=-n-1
のように特殊解が求まるので,
a_n=A\cdot 3^n-n-1
のようになる。