exp A の補足

行列の指数関数 exp A について(ext(tA)の微分) - 球面倶楽部 零八式 mark II

に書いた話は、

の p.79 にある定理5.6にも載っていた。ただ、この本の証明は r(\lambda)-e^{\lambda t}多項式ではないのに、r(\lambda)-e^{\lambda t}(\lambda-\lambda_i)^{n_i} を因数として持つと書いていて少々乱暴。
(正確には、r(\lambda)-e^{\lambda t}\lambda軸と、\lambda=\lambda_in_i 次の接触、つまり \dfrac{r(\lambda)-e^{\lambda t}}{(\lambda-\lambda_i)^{n_i}} が連続ということで、本ブログでの r(\lambda)\sim_{(\lambda-\lambda_i)^{n_i}}e^{\lambda t} と同じこと。まぁ、やっていることは同じなんだけど。)

ちなみに、この定理の次の例題が、A固有値が2で3重解の場合なのだけど、3重解の場合は
\exp(tA)=\dfrac{t^2e^{2t}}{2}(A-2I)^2+te^{2t}(A-2I)+e^{2t}
と定理5.6を使わない方が速いので、定理5.6のありがたみが伝わらなくて何だかなぁ。