第1問
3次巡回行列の固有値・固有空間の話. の固有値は とおくと
,,
であり,対応する固有ベクトルは順番に
,,
である.ここで
,
から, の直交補空間 の像は に含まれることがわかる.
なお, の表す線型変換は軸 に関して120度回転した位置にある基本ベクトルを,軸 に関して120度回転した位置にあるベクトルに移すので,軸 に関するずらし変換と拡大と軸 に関する回転の合成で表現できる.そして線型独立な基本ベクトルの像が全て の形でかけるので、全てのベクトルの像がこの変換に従うことがわかる.
よって の rank が 1 ならば、T の image は軸 となる.よって求める条件は
(2) (1) のとき, は実対称行列であるから ker は image の直交補空間で であり,これが の image である.
このとき,, , が 上で(縮退せずに)正三角形をなすことが必要十分であるから求める必要十分条件は
かつ 「ではない」
となる.
(1) とおく.
,, の像 ,, は
平面 上の3点で,どの2点間の距離も で等しい3点となっている.
(i) のとき:
(a) 3点と原点は同一平面上にあり,
()のとき,
基本ベクトルの像は全て零ベクトルになるので
となり,
,
となる.
(b) (ではない)のとき,
基本ベクトルの像は原点を通る平面 上で原点を重心とする(1点でない)正三角形をなすので
となり,
,…(★)
となる.
(ii) のとき:
3点を含む平面は原点を含まないので,
(a) ()のとき,
基本ベクトルの像は全て一致し,零ベクトルではなく,全ての成分が同じで に平行であるから
となり,
,
となる.
(b) のとき,
基本ベクトルの像と原点で正三角錐をなすので
となり,
,
となる.
以上から, が必要十分条件.
(2) (★)の場合((1)(i)(b))となれば良いので「 かつ 」である.
第2問
結局、単位球面上で の値域を考えているのだから,最大値,最小値は存在し,最大値は 1つだけ正で残りが全部0の場合で1,最小値は全部等しいときで となる.
(1)
により
だから, となるものを とすると
for all
で , とおくと
から であり, から となる.つまり非零の は全て等しくなる.
よって「 は非零の成分が全て等しいような点」となる.
(2) for all とおくと
(は非負で全てが0でない)のときの の最大値,最小値を求めれば良い.
for all より
for all (等号は or ) より
だから最大値は が1つだけ正で残りが全部 ,つまり のうち1つだけが正で残りが全て の場合で となる.
また, とおくと
のときの の最小値を求めることになる.
は下に凸だから Jensen の不等式により
だから
(等号成立は全ての が等しいとき)
となる.よって最小値は全ての が等しいときで となる.
最小値を求めるときの議論に用いる累乗平均の単調性は有名で,例えば
参照のこと.ついでにこれも.