楕円と双曲線の準円

楕円の準円の求め方(解決編) - 球面倶楽部 零八式 mark II

において,楕円の接線の方程式 \dfrac{x_1x}{a^2}+\dfrac{y_1y}{b^2}=1\displaystyle(\cos\theta) x+(\sin\theta) y=0 に平行となるように
\dfrac{x_1}{a^2}:\dfrac{y_1}{b^2}=\cos\theta:\sin\theta として先に接点を(分数がでないように) (a^2r_1\cos\theta,b^2r_1\sin\theta)とおいて接線を\displaystyle(\cos\theta) x+(\sin\theta) y=\frac{1}{r_1} として
\displaystyle a^2\cos^2\theta+b^2\sin^2\theta=\frac{1}{r_1^2}
という関係式を導いたが,直線の Hesse の標準形として設定した方が素直かも知れないなぁ。

楕円の準円の方程式をこのように求める方法はあまり知られていない。

楕円\displaystyle\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2}=1の接線を
\displaystyle(\cos\theta) x+(\sin\theta) y=r_1
つまり
\displaystyle\dfrac{a^2\cos\theta}{r_1}\cdot\dfrac{x}{a^2}+\dfrac{b^2\sin\theta}{r_1}\cdot\dfrac{y}{b^2}=1
とおくと,楕円の接線の公式から接点は\left(\dfrac{a^2\cos\theta}{r_1},\dfrac{b^2\sin\theta}{r_1}\right)となり,接点が楕円上にあることから \displaystyle a^2\cos^2\theta+b^2\sin^2\theta=r_1^2が成立する。

この接線に直交する接線を\displaystyle  -(\sin\theta) x+(\cos\theta) y=r_2とおくと,同様に \displaystyle a^2\sin^2\theta+b^2\cos^2\theta=r_2^2が成立する。

接線の交点は、接線の式の二乗和(束の考え方)もみたすので、
\displaystyle x^2+y^2=r_1^2+r_2^2=a^2+b^2
もみたす。

よって接線の交点は円x^2+y^2=a^2+b^2上にある。

ちょっと格好良すぎない?

と書き直しておこう.

2023.01.08追記(ここから)
なお,これは十分条件であるが,

凸な弧に引ける接線の数 - 球面倶楽部 零八式 mark II

から楕円の外側の任意の点から楕円に丁度2本接線を引くことができることから,楕円の外側にある円x^2+y^2=a^2+b^2上の任意の点から楕円には丁度2本の接線を引くことができ,その2本は直交しなければならなくなり,十分であることがわかる.
(ここまで)

同様にれば双曲線 \displaystyle\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1a,b\gt 0) の準円が
(1) a\geqq b のとき x^2+y^2=a^2-b^2
(2) a\lt b のとき空集合
となることがわかる.

(2023.10.02訂正、結局(1)は、a=b のとき,原点から漸近線上の点を除くことになるので、空集合となるので以下のように訂正)

同様にすれば双曲線 \displaystyle\frac{x^2}{a^2}-\frac{y^2}{b^2}=1a,b\gt 0) の準円が
(1) a\gt b のとき x^2+y^2=a^2-b^2
(2) a\leqq b のとき空集合
となることがわかる.


(2023.10.02修正)

漸近線を考えると,原点から双曲線に接線を引くことができないので
双曲線 \displaystyle\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1の接線を
\displaystyle(\cos\theta) x+(\sin\theta) y=r_1r_1\neq 0),

(注.r_1\gt 00\leqq \theta\lt 2\piと考えてパラメータと直線を1対1対応にしても良いし,r_1\neq 00\leqq \theta\lt \piと考えてパラメータと直線を1対1対応にしても良いし,r_1\neq 00\leqq \theta\lt 2\piと考えてパラメータと直線を2対1対応にしても良い)

つまり
\displaystyle\dfrac{a^2\cos\theta}{r_1}\cdot\dfrac{x}{a^2}-\dfrac{-b^2\sin\theta}{r_1}\cdot\dfrac{y}{b^2}=1r_1\neq 0
とおくと,双曲線の接線の公式から接点は\left(\dfrac{a^2\cos\theta}{r_1},-\dfrac{b^2\sin\theta}{r_1}\right)となり,接点が双曲線上にあることから \displaystyle a^2\cos^2\theta-b^2\sin^2\theta=r_1^2\neq 0)が成立する。

この接線に直交する接線を\displaystyle  -(\sin\theta) x+(\cos\theta) y=r_2r_2\neq 0),とおくと,同様に \displaystyle a^2\sin^2\theta-b^2\cos^2\theta=r_2^2\neq 0)が成立する。

接線の交点は、接線の式の二乗和(束の考え方)もみたすので、
\displaystyle x^2+y^2=r_1^2+r_2^2=a^2-b^2
もみたす。

よって接線の交点は(2023.10.02訂正)
(1) a\gt b のとき x^2+y^2=a^2-b^2 上にある
(2) a\leqq b のとき空集合(直交する接線の組は存在しない)

2023.01.08追記(ここから)
なお,これは十分条件であるが,

凸な弧に引ける接線の数 - 球面倶楽部 零八式 mark II

から \displaystyle\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}\lt 0 または 0\lt \displaystyle\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}\lt 1 をみたす領域の任意の点から双曲線に丁度2本接線を引くことができることから,円x^2+y^2=a^2-b^2上の \dfrac{x}{a}\neq\pm\dfrac{y}{b} をみたす任意の点から双曲線には丁度2本の接線を引くことができ,その2本は直交しなければならなくなり,

(1) a\geqq b のとき x^2+y^2=a^2-b^2 かつ\dfrac{x}{a}\neq\pm\dfrac{y}{b}(円から双曲線の漸近線との4交点を除いたもの)

が十分であることがわかる.
(ここまで)

2023.10.02追記(ここから)
\displaystyle(\cos\theta) x+(\sin\theta) y=r_1r_1\neq 0)なる双曲線 \displaystyle\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1の接線が存在するための\theta必要十分条件
\displaystyle a^2\cos^2\theta-b^2\sin^2\theta\gt 0
をみたす \theta が存在すれば良いので,
|\tan\theta|\lt\dfrac{a}{b}
である.同様に,この接線に直交する\displaystyle  -(\sin\theta) x+(\cos\theta) y=r_2r_2\neq 0)なる双曲線 \displaystyle\dfrac{x^2}{a^2}-\dfrac{y^2}{b^2}=1の接線が存在するための\theta必要十分条件
\displaystyle a^2\sin^2\theta-b^2\cos^2\theta\gt 0
をみたす \theta が存在すれば良いので,
|\tan\theta|\gt\dfrac{b}{a}
である.よって直交する接線が少くとも1組存在するための必要十分条件
\dfrac{b}{a}\lt\dfrac{a}{b},つまり a\gt b
である.このことから (2)の場合に空集合であることがわかる.

(1)の十分性については別エントリーで話題にする。束の考え方で十分条件を考えるには,

a\gt b のもとで,

x^2+y^2=a^2-b^2
と双曲線の接線の交点の動きを追跡すれば漸近線との交点以外を通過することがわかる(もちろん直交する接線の交点だから同じ点を2回ずつ通過する)

代数的に上手に必要十分条件を求める方法は別エントリで。