交代行列の特異値

エピポーラ幾何学で、基本行列が反対称行列と回転行列の積\left\{T\right\}_{\times}R(本当はTは [T]のように大括弧で括りたいのだが、はてなTeX記法では難しそうだ)
に書けることを示した後、その特異値が 0,||T||,||T||と1つが0で残り2つが等しくなることを証明するのに、つい面倒で成分計算を用いてしまった。

と書いていたが、DOSEIさんにやり方を教えてもらったので、書き直しました。

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エピポーラ幾何学で、基本行列が反対称行列と回転行列の積[T]_{\times}Rに書けることを示した後、その特異値が 0,||T||,||T||と1つが0で残り2つが等しくなることを証明するのに、つい面倒で成分計算を用いてしまった。

交代行列[T]_{\times}に対して[T]_{\times}[T]_{\times}^{T}=-[T]_{\times}^2となるので、これを成分計算すると||T||^2(I-uu^{T})uT向きの単位ベクトル)と変形できる。ここでuAu=0をみたす、つまりA固有値0に対応する単位固有ベクトルとなっている。ここでI-uu^{T}uを法線ベクトルとする平面への正射影となるからこの部分の固有値は0,1,1となる。よって[T]_{\times}[T]_{\times}^{T}固有値0,||T||^2,||T||^2となり、[T]_{\times}の特異値は0,||T||,||T||となる、という具合に。

別の考え方として[T]_{\times}を交代行列とすると\exp [T]_{\times}は3次元回転行列で回転量は||T||。よってその固有値1,\exp(\pm i||T||)となる。よって[T]_{\times}固有値0,\pm i||T||となる。このことから[T]_{\times}[T]_{\times}^{T}=-[T]_{\times}^2固有値0,||T||^2,||T||^2となるという説明はマニアックすぎるか。

特異値分解が保証するものは、互いに直交するベクトルに移る正規直交基底の存在であり、3次元交代行列が外積を導くことを考える。

交代行列[T]_{\times}で表される線形変換は、

[T]_{\times}x=T\times x

をみたすので、その固有値0に対応する単位固有ベクトルuとし、uを含む右手系正規直交基底をu,v,wとするとAu=0,Av=||T||w,Aw=-||T||vが成立する。よってA(u,v,w)=(u,w,-v)diag(0,||T||,||T||)つまりA=(u,w,-v)diag(0,||T||,||T||)(u,v,w)^{T}が成立する。これはまさにA特異値分解による表現だから、Aの特異値は0,||T||,||T||となる。

この説明は結構いけてる?