数学Bにおける信頼区間

第一学習社「高等学校数学B」(183第一数B331)

したがって,標本調査で得られる1つの標本平均 \overline{x} を用いて,母平均 m区間
\overline{x}-1.96\cdot\dfrac{\sigma}{\sqrt{n}}\leqq m\leqq \overline{x}+1.96\cdot\dfrac{\sigma}{\sqrt{n}}
の中にあると推定すれば,その推定が当たる確率は95%である。

東京書籍「数学B」(2東書数B301)

一般に,標本抽出を行い信頼区間を求めるとき,「この区間は母平均 m を含む」という主張は正しいとは限らない。しかし<多数回抽出して信頼区間を求めれば,そのうち約 95% は母平均 m を含んでいる。
これが信頼度 95% の信頼区間という意味である。

数研出版「高等学校数学B」(104数研数B325)

母平均 m に対する信頼度 95% の信頼区間とは,無作為抽出を繰り返し,このような区間を,例えば 100 個作ると,m を含む区間が 95 位あることを意味している。

数研出版「高等学校数学B」(104数研数B326),数研出版「新編数学B」(104数研数B327)

母平均 m に対する信頼度 95% の信頼区間の意味を考えよう。\overline{X} は確率変数であるから,標本から実際に得られる平均値 \overline{x} は,抽出される標本によって異なる。しかし大きさ n の無作為標本を繰り返して抽出して,得られた平均値から上のような信頼区間を多数作ると,その中には m を含むものが 95% あることが期待される。これが信頼度 95% の信頼区間の意味である。

啓林館「数学B」(61啓林館数B323),啓林館「新編数学B」(61啓林館数B324)

\overline{X} は変数であるから,信頼区間\overline{X} の値によって変化する。すなわち,右の図の I,II,... のように,標本抽出のたびに変わってくる。
このとき,\overline{X} のすべての値 \overline{x} について,信頼区間m を含むとは限らない。
しかし,0.95の確率で,標本区間m を含むといえる。
したがって,100回の標本抽出において 95 回ぐらいは,区間
\overline{x}-1.96\cdot\dfrac{\sigma}{\sqrt{n}}\leqq m\leqq \overline{x}+1.96\cdot\dfrac{\sigma}{\sqrt{n}}
m を含むということになる。これが信頼度 95% の信頼区間の意味である。

第一学習社はちゃんと確率と書いている。

「独立試行の試行回数を大きくしたときに,ある事象の起きた相対度数の極限が存在するとき,その極限値をその事象の起きる確率と呼ぶ」
という統計的な確率の定義が根本にあるものの,この統計的な確率の定義では主観的確率を定義することができないため,これを確率の定義として採用したくない人々が
「多数回抽出して信頼区間を求めれば,そのうち約 95% は母平均 m を含んでいる」
というような物言いをして,あたかも信頼区間が確率とは異なるような印象を与えようとしているのが悪い。

と、同じことを定期的に書いて啓蒙していこう。