かなり昔、
spherical-harmonics.hatenablog.com
と書いたようだが、証明を忘れたので思い出してみる。
Johnson の定理は、他人の web page に丸投げしておくが、
put3y19ea1n0r9er.hatenablog.com
にある。(1916年に発見された定理とは驚いた)。なお、勝手に引用しておいて恐縮ではあるが、式(4)のところは、
とヘロンの公式を組合せる方が私好み。
Johnson の定理は、随分昔に、
の著者に教えていただいた思い出深い問題。この本もしくはのどちらかに載っていたと思う。昔、小島寛之さんの線形代数の本をあまり褒めなかったが解法のスーパーテクニックと数学ワンダーランドは本当に良い本である。そして初等幾何を用いた Johnson の定理の証明も実にエレガントで一読の価値がある。
なお、小島さんの線形代数の本も行列式の心を理解するには良い本だと思うけど、私の感性に合わない。本を読むって著者の頭の中に寄り添うことだと思い、それが簡単にできる場合と難しい場合がある。筆者の努力に感性が合わない場合がどうしてもある(具体例のおかげでより混乱する、自戒も込めて)。数学以外の部分が息抜きになる人もいれば、苦痛になる人もいる。だからこそ、世の中には同じテーマの本が溢れることになるのだと思う。ちなみに上述の小島さんの2冊の本は読んでて本当に面白かった。
さて、Johnson の定理を利用したポンスレの閉形定理の特別な場合、つまり、2つの円と三角形の場合の証明。
もちろん、円と球面の幾何学
を参照していただくのが良いのだが、絶版中なので、、、。三角形とその内接円と外接円がある、という状況を内接円に関する反転で移す。このとき、反転によるの像は円であり、これをとする。また、の中心をOとする。
すると、三角形の3辺は、Oを通りに接する円に移る。この円の直径はの半径に等しい。よって、三角形の3辺の像はOを通る3つの同じ大きさの円となり、Johnson の定理により、3つの円のうちの2つの円の、Oとは異なる交点は3つあるが、その3点は上にあることがわかる。
さて、とを固定して、上の点からに接線を1本引いて、と再び交わる点をQとし、同じ操作を繰り返してできる点を順番にR、Sとする。ここで示すべきことはP=Sである。
直線PQの反転による像は、と2点で交わり、その交点はP、Qの反転による像P'、Q'である。同様に、直線QRの反転による像は、とそれぞれ2点ずつで交わり、その交点はQ、Rの反転による像Q'、R'である。
さて、直線RSの反転による像は、の中心とR'を通り、に接する円だから、一意に定まる。そしてその円と「直線PQの像である円」との交点は上にもあるので、Pそのものである。つまり、S=Pとなり、題意は証明された。
とまあ、こんな感じ。
2023.01.23追記
初等幾何を用いた Johnson の定理の証明(ではなく証明のアイディアだった)は解法のスーパーテクニック p.45 にある(Johnson の定理とは書いていない).