単位円周上の異なる4点を含む2次関数が存在する条件

最近、twitter で良く見るので。

単位円周上の異なる4点を含む2次関数(または y 軸に平行な2直線)が存在する必要十分条件は、4点の偏角の和が 2\pi の整数倍となることである.ここで、y 軸に平行な一致しない2直線は、放物線の極限として考える.

一度に証明する方法もあるが、理解しやすいように段階的に示す

(1) y=x^2(x-p)^2+(y-q)^2=r^2 が4交点をもつとき、y を消去して得られる4次方程式の x^3 の係数が 0 だから,4交点の x 座標の和は 0 となるので、

y=x^2 上の4点が同一円周上にあることと、4点の x 座標の和が 0 となることは同値

(2) y=x^2 上の2点を結ぶ直線の傾きは x 座標の和という高校受験のテクニックを使うと、

y=x^2 上の4点が同一円周上にあることと、「4点のうち2点を結ぶ直線の傾きと、残りの2点を結ぶ直線の傾きの和が 0 となること」は同値

(3) 全ての円は相似、全ての2次関数は相似であるから,拡大と平行移動をすることによって、

2次関数上の4点が同一円周上にあることと、「4点のうち2点を結ぶ直線の傾きと、残りの2点を結ぶ直線の傾きの和が 0 となること」は同値

(4) 3点を通る円、2次関数がそれぞれ一意に定まることから、

円周上の4点を通る2次関数が存在することと、「4点のうち2点を結ぶ直線の傾きと、残りの2点を結ぶ直線の傾きの和が 0 となること」は同値

(5) 円を単位円として,単位円周上の2点を通る直線の法線方向が偏角の平均 (\mbox{mod}\, \pi) になることから、

単位円周上の4点を通る2次関数が存在することと、「4点のうち2点の偏角の平均と、残りの2点の偏角の平均の和が 0(\mbox{mod}\, \pi) になること」は同値

(6) つまり、

単位円周上の4点を通る2次関数が存在することと、「4点の偏角の和 0(\mbox{mod}\, 2\pi) になること」は同値

であることがわかる.

2021.02.19追記

単位円上の4点の偏角の和 0(\mbox{mod}\, 2\pi) になること」は複素平面で「4つの複素数の積が1」と同値になるので,

単位円周上の4点を通る2次関数が存在することと、「4つの複素数の積が1」と同値になる.

この証明は、放物線の焦点を f\in\mathbb{C},準線を \mbox{Im}(z)=p\in\mathbb{R} とおくと

放物線の式は |z-f|=|\mbox{Im}(z)-p| となる.\mbox{Im}(z)=\dfrac{z-\bar{z}}{2i} だから,これは
|z-f|=\Bigl|\dfrac{z-\bar{z}}{2}-pi\Bigr| と同値で,絶対値を外すために2乗すると,
|z-f|^2=\Bigl|\dfrac{z-\bar{z}}{2}-pi\Bigr|^2 と同値である.

右辺の絶対値の中身が純虚数であることに注意してすると
(z-f)(\bar{z}-\bar{f})=-\Bigl(\dfrac{z-\bar{z}}{2}-pi\Bigr)^2,つまり
(z-f)(\bar{z}-\bar{f})+\Bigl(\dfrac{z-\bar{z}}{2}-pi\Bigr)^2=0
が成立し,これが放物線の式である.

放物線と単位円 |z|=1,つまり z\bar{z}=1 との交点は \bar{z}=\dfrac{1}{z} をみたすので,円と放物線の交点 z
(z-f)\Bigl(\dfrac{1}{z}-\bar{f}\Bigr)+\left(\dfrac{z-\dfrac{1}{z}}{2}-pi\right)^2=0
の解である.多項式にするために 4z^2 倍すると
4z(z-f)(1-\bar{f}z)+\Bigl(z^2-(2pi)z-1 \Bigr)^2=0
が成立する.整理して
z^4-(\bar{f}+4pi)z^3+(|f|^2-1)z^2+(2pi-f)z+1=0
となる.よって,解と係数の関係により,単位円と放物線が4交点をもつとき,それを z_1\sim z_4 とすると,z_1z_2z_3z_4=1 が成立する.

2024.01.02追記
放べきの定理(と円と放物線が4点で交わるとき) - 球面倶楽部 零八式 mark II
も参照のこと