フェルマー点から三角形の頂点までの距離

(1) 最大角が 120^{\circ} 以上のとき、フェルマー点は最大角の頂点だから、最大角の頂点から3頂点までの距離となる。

(2) 最大角が 120^{\circ} 未満のとき、フェルマー点から頂点までの距離を x,y,z とおくき、3角形の3辺の長さを a,\,b,\,c とおくと、フェルマー点と3頂点を結ぶ線分は 120^{\circ}をなすので、余弦定理から、

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という連立方程式を解けば良いので、
 x=\dfrac{s_1^2-s_2-a^2}{s_1} =\dfrac{3(b^2+c^2-a^2)+4\sqrt{3} S}{3\sqrt{2}\sqrt{a^2+b^2+c^2+4\sqrt{3} S}}
 y=\dfrac{s_1^2-s_2-b^2}{s_1} =\dfrac{3(c^2+a^2-b^2)+4\sqrt{3} S}{3\sqrt{2}\sqrt{a^2+b^2+c^2+4\sqrt{3} S}}
 z=\dfrac{s_1^2-s_2-c^2}{s_1} =\dfrac{3(a^2+b^2-c^2)+4\sqrt{3} S}{3\sqrt{2}\sqrt{a^2+b^2+c^2+4\sqrt{3} S}}
となる。

ここで現れる S=\dfrac{1}{4}\sqrt{2(a^2b^2+b^2c^2+c^2a^2)-(a^4+b^4+c^4)} は3角形の面積をヘロンの公式で表したものである。
このことに気付けば、フェルマー点を \rm Pとし、3頂点を \rm A,B,C とおくと
 \rm \triangle ABC =\rm \triangle PAB +\rm \triangle PBC +\rm \triangle PCA=\dfrac{\sqrt{3}}{4}(xy+yz+zx)
であることから、
 xy+yz+zx=\dfrac{4}{\sqrt{3}} S
であることが導かれる。

また、フェルマー点から3頂点までの距離の和 x+y+z は、有名な USAMO 1974年5番

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によって
 3S+\dfrac{\sqrt{3}}{4}(a^2+b^2+c^2)=\dfrac{\sqrt{3}}{2}(x+y+z)^2
と求めることができるので、先ほどの「とある連立方程式」は、幾何学的に解くことができる。

もちろん、「とある連立方程式」の (1)+(2)+(3)余弦定理)と、ヘロンの公式から

 2(x^2+y^2+z^2)+(xy+yz+zx)=a^2+b^2+c^2
 xy+yz+zx=\dfrac{4}{\sqrt{3}} S

が得られ、これから x+y+z を求め、
 x^2+y^2+z^2+xy+yz+zx - x(x+y+z) = a^2 を変形した
 x=\dfrac{x^2+y^2+z^2+xy+yz+zx -a^2}{x+y+z}
を利用して x を求めるのが一番早い。