射影幾何による Pappus の定理の証明

直線  l 上の3点 {\rm A}_1{\rm A}_2{\rm A}_3,および直線  m 上の3点 {\rm B}_1{\rm B}_2{\rm B}_3 に対して,直線 {\rm A}_{i-i}{\rm B}_{i+1}{\rm A}_{i+i}{\rm B}_{i-1} の交点を {\rm P}_i とおく.但し添字は3を法として考える.このとき3点 {\rm P}_1{\rm P}_2{\rm P}_3 は同一直線上にある

とある資料では,{\rm A}_{1}{\rm B}_{2}{\rm A}_{2}{\rm B}_{3}{\rm A}_{3}{\rm B}_{1}x=0y=0z=0 とおいているが,3直線が共点のときは交点の座標が  (0,0,0) となってしまうので,3直線が共点のときは別に証明しなければならない.対称性が高くて証明は綺麗なのだけど.

もちろん,3直線が共点のときは極限を考えれば成り立つのだが.

とりあえず別の座標をとってみる.

l,m の交点(無限遠点でも良い)を(0,0,1)とし,{\rm A}_1(0,1,0){\rm B}_1(1,0,0) とおくと l:x=0m:y=0 となる.

また,直線 {\rm A}_1{\rm B}_2{\rm A}_2{\rm B}_1 の交点 {\rm P}_3 の座標を (1,1,1) とする.


直線 {\rm A}_i{\rm B}_j の方程式を l_{ij}=0 とする.

l_{12}{\rm A}_1(0,1,0){\rm P}_3(1,1,1) を通るので
 l_{12}=x-z=0 である.

同様に  l_{21}=y-z=0 となる.

l_{31}l_{21}m の束だから  by-z=0 とかける.

同様に l_{13}=ax-z=0 とかける.

l_{23} l_{21} l の束だから  cx+y-z=0 とかける一方,
l_{13}m の束だから  ax+dy-z=0 ともかけるので,
c=a,d=1となり,l_{23}=ax+y-z=0 とかける.

同様に l_{32}=x+by-z=0 とかける.

よって3次曲線
 l_{12}l_{23}l_{31} =(x-z)(ax+y-z)(by-z)=0
および
 l_{21}l_{32}l_{13} =(y-z)(x+by-z)(ax-z)=0
は9点 {\rm A}_1{\rm A}_2{\rm A}_3{\rm B}_1{\rm B}_2{\rm B}_3{\rm P}_1{\rm P}_2{\rm P}_3
を通る.

よって2つの3次曲線の束
 l_{12}l_{23}l_{31}-l_{21}l_{32}l_{13}
 =xy\{ a(b-1) x-b(a-1) y+(a-b)z\}=0
も9点 {\rm A}_1{\rm A}_2{\rm A}_3{\rm B}_1{\rm B}_2{\rm B}_3{\rm P}_1{\rm P}_2{\rm P}_3
を通る.3点 {\rm P}_1{\rm P}_2{\rm P}_3l 上にも m 上にもないので、 xy\neq 0 をみたすので、
a(b-1) x-b(a-1) y+(a-b)z=0
をみたす.つまり,この3点は直線 a(b-1) x-b(a-1) y+(a-b)z=0 上にある.